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笹幸恵
2018.1.23 06:20

「新潮45」特集を読んでみました

『新潮45』2月号の特集

「『反安倍』病につける薬」

パラパラとページをめくって執筆陣を見た・・・。

うわー。

うへー。

うぎゃー。

うほー。

う行四段活用。

HANADA』か『WiLL』と

ほとんど変わらないではないか。

もう少し知的で良心的で雑誌の気概を

持っていると思っていたのに・・・。

うんざりする気持ちを抑えつつ全部読んでみた。

 

「朝日」「NHK」の偏向報道を糾す

櫻井よしこ

どこぞの雑誌の寄稿と全く同じで目新しさはない。

「朝日」がいかに卑劣かを縷々述べて、

ついでに「NHK」も攻撃。

モリカケ問題では、小川榮太郎(日本平和学研究所)の

報道時間の調査(前川発言が何分、加戸発言は何分、とか)を

根拠にして、偏向報道だ何だと言っている。

この時点でアウトだろう。

偏向かどうかは報道時間の長さではない。

編集担当者はこの主張に何の疑問も抱かないのだろうか。

偏向報道のきっかけは総理の憲法改正発言ではないかと指摘し、

安倍ヨイショで終わる。既視感アリアリ。

 

「安倍嫌い」を解剖する

古屋経衡

いろいろ分析してみせている。

が、何度読み返しても何が言いたいのかわからない。

「私は安倍が良いと言っているのではない。事実こうだ、

と指摘しているに過ぎない」

・・・そうだね。

としか言いようがない。

とりわけ最後の一文が意味不明。

「安倍以外に盤石な宰相や政党が登場するなら、

喜んでそちらに投票する」

???
投票するとき、「こいつは盤石だ!」と思って

票を入れるのかね。それが基準ってどういうこと?

国民の支持を以て盤石かどうかを判断するというなら、

この人は単なるポピュリストだし、

盤石かどうかなんて“結果”に過ぎないのだから、

この人はずっと与党に投票し続けるということか。

知的水準としてもどうかと思う。

 

対立軸なき時代の「病」

山口真由

アメリカと比較して、日本の経済政策に左右の対立

なんてものはないとする。

確かに今は「保守」を名乗る人々が「改革」を連呼する時代、

アベコベだよね。

けど、記事そのものは安倍首相と岸信介のエピソードを

どこかから引っ張ってきただけに過ぎない。

で、彼女自身の分析はというと・・・

「『反安倍』というのは、戦争が遠い世界の出来事に成り果て、

かといって他に明確な対立軸を持たないこの国の『病』なのだと思う。

 集団安全保障、特定秘密保護法、共謀罪――漢字ばかり並ぶ

小難しい議論に立ち入るよりも、いまや保守の象徴となった

安倍総理を感情的に攻撃した方が容易いし、理解されやすい」

うーん、この程度の分析力でいいのか。心配だ。

確かに教条主義的で思考停止した幼稚な「反安倍」勢力は

いるのかもしれない。けど、安倍ヨイショ派が反安倍派を

この程度にしか理解していないということのほうに

私は危機感を覚える。

しかも文中、唐突に憲法の話が出てくるんだけど、意味不明。

「どうしたって戦争を経験していない世代には、

『改憲』も『護憲』も肌身に馴染まない空中戦に過ぎないのだ」

いや、戦争経験の有無に逃げたらイカンよ。

歴史をどれだけ深く理解しているかという知性の問題でしょう。

そして地に足つけながら、この国のグランドデザインを描こうとする

想像力と責任感かあるかどうか、というだけの話では。

 

安倍政権は「バカ発見器」である

阿比留瑠比

どこかで何度も似たようなことを書いている。

以上。

 

朝日新聞と岸家、積年の怨み

八幡和郎

この人の記事、何度か読んでいるけど、

何でもないところに何かあるかのような、

こじつけや思い込み、陰謀論的な話が好きだよね。

「緒方竹虎と岸信介という、戦後の二大政治家の対決についての

消化不良は、半世紀後に、安倍首相と朝日新聞の正面対決に発展した」

はあ?

それに近衛内閣云々といわれても、反安倍と何のつながりが

あるのか、さっぱりわかりません。

おそらくこの人の言いたいことは、

「自分はインテリだ」ということだけでは。

 

憲法私案を撤回して対決「枝野幸男」

長尾一紘

中央大学名誉教授の先生。

2013年、文藝春秋10月号に発表した

憲法の「枝野私案」を引っ張り出して

あれこれ論じている。けど、4年も前の話で、

今、撤回した私案をほじくり返して見せるだけの

記事に何の意味があるのかわからない。

 

「反アベ」の無限ループ

中川淳一郎

ツイッターの世界で、いかにアホな教条主義的左翼が

いるのかということがよくわかりました。

この記事はいわゆるネトサヨ批判。

けど、そっくりそのままネトウヨにも当てはまりそう。

 

「妄想の産物」を批判する「花畑左翼」

適菜収

私の好きな連載「だからあれほど言ったのに」特別編。

どうやら本当に阿呆な左翼はいるようだ。

「安倍は危険な国家主義者で、戦前回帰を目論む復古主義者で、

ヒトラーのような排外主義者で、極右で、保守反動だと

考えている一連の人々がいる」

で、こうした指摘が全く当たらないことを具体的事例を

皮肉たっぷりに述べて論破。

「(安倍は)国家観、憲法観、政治手法、すべてにおいて

保守の対極にある人物であることは明らかだ」

全く同感。

「反安倍」を叩きながら安倍をこき下ろすという

スゴ技を披露している。

 

最後の適菜収さんの記事でバランスを取ったつもりなのかも

しれないけれど、全体としては、やっぱり既視感が否めない。

少なくとも『HANADA』か『WiLL』の使いまわしは

やめてほしい。「新潮」という名のある雑誌なのだから絵文字:泣く

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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